国政報告

平成26年5月13日 総務委員会で質問

総務委員会の一般質疑にあたり、今回は、衆議院を通過し、この後参議院の審議入りをする「地方自治法の一部を改正する法律案」のうち、「指定都市制度の見直し」と「新たな広域連携の制度の創設」の二点について、これまでの経験を踏まえ、地方自治体の皆様の観点も交えつつ、一足早く質問をさせていただきました。

総合区制度の創設について

石井

最初に、いわゆる総合区制度の創設について、岡山市が政令市になったときの経緯にも触れながら、改正の趣旨と、事前に政令指定都市側とどのような調整をされたのか、総合区導入を検討している指定都市はあるのかどうかといった点も含めて新藤大臣の見解をうかがいました。

新藤 義孝 総務大臣

「委員は長期にわたり地方自治の最前線でリーダーシップを取られ、いろんなことをよく御存じの方だと思いますから、是非いろんな建設的な御意見を今後もいただければ有り難いと、まず御期待を申し上げます。 御指摘いただきました今回の地方自治法の改正における総合区制度は、基礎自治体でありながら人口規模が都道府県並み、そしてカバーするサービスが幅広いといった特徴を持つ指定都市につき、更に住民に身近な行政サービスが実現できるように総合区という制度を置いたわけです。
第三十次の地方制度調査会の答申に基づき今回御提案させていただきました。答申を得るまでの二年の作業の間、地方制度調査会で節目節目に指定都市の市長会からも三回の意見聴取を行い、御意見を頂戴しました。法案の検討過程においても、内容につき、必要な情報提供を各市長会や団体等に対して連絡、説明をさせていただきました。 現状の導入の見込みは法案の成立前で指定都市の検討状況は把握していませんが、そもそも指定都市においても、規模にまだ差があります。指定都市にある区もそれぞれです。そういった町の特徴を踏まえて、人口規模や面積、市民性、住民ニーズ、こういったものを踏まえて、それぞれの指定都市が地域の実情に応じて、今後提案をされるのでは、また、これは選択制でありますから柔軟な対応がなされるのと思っています」

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政令指定都市都道府県調整会議の設置の趣旨

石井

次に政令指定都市都道府県調整会議の設置の趣旨と、法律にこれを位置付け、その調整に総務大臣が勧告をするという制度の設計になっていますが、これは大きな地方分権の流れからすると問題はないのかどうかという指摘について、関口副大臣から見解を伺いました。

関口 昌一 総務副大臣

「委員の御指摘のとおり、調整会議の大きな設置の趣旨としては二重行政の解消がうたわれています。第四次一括法における都道府県から指定都市への権限移譲とともに、本法案において都道府県、指定都市が協議を行う場として調整会議を設置することとしました。本法の施行で調整会議が自動的に設置され、開催の回数や頻度等、会議の運営は地域の実情に応じて調整会議が定めます。 委員御指摘の、現実にもう都道府県と指定都市とで会議を設置しているケースは、調整会議と同様の性質でしたら、この調整会議として位置付けることも可能と考えます。
総務大臣の勧告が地方分権の流れに逆行するのではないかとの指摘ですが、石井委員も知事を長く経験されて地方分権に取り組んできた一人で、そういう御懸念もあるかと思いますが、まず前提としてこの調整会議で協議がうまく図られると想定しておりまして、万が一協議が進まずに第三者が入って調整をしてほしいと市長又は知事から要請があった場合に、議会の議決を経て総務大臣が勧告を行うもので、決して地方分権の流れに逆行しないよう対応されるものと考えています。」

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連携協約制度の創設について

石井

新たな広域連携の制度の創設、その中で連携協約制度の創設について、今回の改正の趣旨と、今までにある一部事務組合等とどう違うのか、交付税措置はどうなるのか、今年度中に先行したモデル事業を何か所かで実施することについて、どう取り組んでいかれるのか、自治行政局長に伺いました。

門山 泰明 自治行政局長

「御指摘のとおり、人口減少社会において、全国の市町村が基礎的な自治体として持続可能な形で行政サービスを提供していくことは必要なことで、そのためには、単独の地方公共団体、それぞれが活性化することに加え、市町村が近隣の市町村と有機的な連携をして活性化していくことが重要と考えます。そのために、新たな広域連携の仕組みとして連携協約制度を創設することとしました。
お尋ねにございました、現行のいろいろな共同の仕組み、一部事務組合ですとか事務の委託がございます。これと連携協約との違いですが、連携協約は、通常の事務の分担だけでなく、基本的な方針とか政策面での役割分担も定めていくのが一点です。もう一つ、議会の議決をして締結するわけですが、万が一将来紛争が生じたときの解決の手続もあらかじめビルトインしています。三つ目は、別組織をつくらない簡素で効率的な仕組みを要点として連携協約制度を設けようと考えています。
そして、この連携協約を活用して地方中枢拠点都市を想定しまして、地方中枢拠点都市圏の取組を進めたいと考えています。本格的な交付税の措置等につきましては平成二十七年度からの全国展開を考えていますが、そのために今年度、二十六年度に、今御指摘のモデル事業を通じ、連携協約の締結に既に積極的に考えていただいている地方公共団体と一緒になり、連携協約の具体的な在り方、必要な財政措置の在り方等につき検討を行い、先行的なモデルを構築し、二十七年度以降の措置に反映していきたいと考えています。」

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代替執行について

石井

代替執行について、都道府県が補完する小規模市町村の事務は具体的にどのようなものを想定し、また市町村間のお互いの連携はどのようなものを想定しているか、自治行政局長に伺いました。

門山 泰明 自治行政局長

「連携協約それから代替執行合わせてですが、地方自治法上はこういうものはできないという特段の制限は設けません。 具体的に、都道府県の小規模市町村の事務の補完でどんなことが考えられるかですが、介護保険とか地域包括システムなど各種社会福祉関連業務の中で特に専門性が要求される分野、人材の面なども含め、こういった分野とか、道路、橋梁、水道などのインフラの維持に関する業務も専門性が要求される分野はかなりあるとの認識です。さらに地域振興、観光といった企画部門はなかなか小規模な町村では担当者の数も本当に一人とか二人、限られているようなケースもありますので企画部門の業務などが、今の時点で想定している主なものです。
市町村相互の連携は、地方中枢拠点都市圏において中心的な都市が地方圏の経済を牽引する産業振興的な面が一つ大きいと考えておりますが、ほかにも例えば三大都市圏においてもこれから急速な高齢化が進む、それから公共施設の老朽化、これは地方、都市、両方通じての問題です。こういった喫緊の課題につきまして水平的、相互補完的に、あるいは双務的に連携していく、こういった形が連携として想定されると考えます。」

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今回の自治体連携の強化策が道州制も含めた
今後の地方分権改革論議に及ぼす影響について

石井

人口減少社会に入りましたが、私が道州制を主張していますのも、導入後の姿として、事務が都道府県から基礎自治体(市町村)にいっても、垂直と水平の補完など、自治体間の連携といった制度を使うことによって移譲された事務が補完される、その結果、市町村行政は合併をしなくても今のままで大丈夫だということを制度設計として念頭に置いているわけですが、今回の自治体連携の強化策が道州制も含めた今後の地方分権改革論議に及ぼす影響について新藤大臣の見解を伺いました。

新藤 義孝 総務大臣

「地方分権は、その対極に中央集権があって、国の一律的な行政サービスをそれぞれの地方の個性に合わせた、より豊かな住民生活を実現するために分権を進めていこうということが発端だったと思いますが、それから約二十年たち、日本は更に次の段階に突入しつつあると思っています。それはお触れになりました人口減少社会です。人口減少社会になりますと何が起きるか、人口の小さな弱い地域から衰弱していくわけです。今、現行で人口五万人以下の市町村が全国で七割あります。残りの三割の地域に八割の人口が住んでいると、その地域では都市問題が発生し、一方で、地方では過疎化が進み自治体を維持することも苦しくなる、そういう状態が見えていく。そこにさらに日本の人口が激減をするという中にあって、どういう策を打つべきか。それぞれの地域にとどまって自治を確保しながら、自立する自治体をどうつくっていくか。一方で必要なのは地域活性化です。もう一つは、その地域活性化を可能とする地方分権だと考えて、今回の地方分権改革の一括法を出させていただいています。これも、市町村単位で多様な、またやる気のある自治体にのみできるような制度を与えようではないかということをやらせていただいたわけです。
そして、分権はどこかから分離独立するのではなく、あくまでその地域の総合的な力を高めるものでなければいけない、将来見える先に出てくる大きな統治機構の変換が道州制であるということだと思います。委員は道州制のビジョン懇のメンバーであり、知事会における特別委員長でもございました。私たちはこの国の実情、将来のことを見据えながら、道州制、私は道州制推進担当大臣も拝命しています。そういった問題を取り組む中で根本にあるのは、いかに日本を持続可能な状態で社会を維持していくか。全国津々浦々、自分の住んでいる町にとどまって、その場が、その地域が発展できるような国をつくらなければいけないと。この中で、分権や活性化、そして道州制といったものを考えていきたいと考えています」

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地方を、熱くする。誠実に前向きに! 自民党 参議院議員 石井まさひろ