国政報告

平成26年6月3日 総務委員会にて参考人質疑

行政不服審査について、国民の皆様の権利を救済するための、公正性や利便性の向上、審理の迅速化を図るために、行政不服審査法関連三法案が50年ぶりに抜本的に見直されるにあたり、本日、参議院総務委員会で、これまでこの問題に取り組んでこられたお二人の有識者に対して参考人質疑が行われ、自民党を代表して質問をさせていただきました。

行政不服審査法関連三法案について

宇賀克也参考人(東京大学教授)は、民主党政権時代、「行政救済制度検討チーム」のメンバーの一人として独立性の強い「審理官」制度創設を含む行政不服審査法の改革をとりまとめられました。その後様々な経緯を経て、このたびの法案の提出となったわけですが、その中で宇賀参考人のこの法案についての思いや、評価、課題について伺いました。

宇賀 克也 教授

「当時は事前案の中で行政不服審査会制度はとらないという前提でしたので、審理員制度だけでは公正中立性が十分ではない、独立性の高い審理官制度創設が必要だとなりました。政府案は行政不服審査会という第三者機関で公正中立性が担保されるので大きな改善になると考えています。また、私の理解では審理員は大臣の補助機関、審理官は諮問機関であり、合議制か独任性かの違いかだけで府省横断的な諮問機関を設けることは全く問題ないと考えます。審理官制度も法制的に十分可能だと考えますので、国会、この委員会におきましても審理官制度を今後の検討課題として位置付けていただければ大変うれしく存じます」

↑ページトップにもどる

行政不服審査の認容率について

斎藤浩参考人(弁護士・立命館大学法科大学院教授)は私と全く同じ昭和20年岡山県生まれ(疎開中・津山で)ということで、何か不思議な御縁も感じますが、参考人は行政不服審査の認容率について、国の方が認容率10.6%、地方公共団体が2.8%、本来、もっとこの数値が高まるべきではないか、具体的に行政事件訴訟の裁判事例の数値19%と比較しながら御紹介、御説明されていました。こういった認容率の違いについてどのように受け止めておられるか、お考えを伺いました。

斎藤 浩 弁護士

「私が申し上げる点ではどちらも低いですが、国の方がやや高いというのは、情報公開とか税金の関係でその傾向が表れています。逆に地方税は国税不服審判所のような制度ではなく行政不服審査法がそのまま適用される制度で、なかなか認容率も上がってこないという違いもあります。どうしてこのように低い中でも国と地方の数字が大きく違うのかという研究は私自身もできておりませんし、今まで小早川、宇賀先生を中心とする研究会が行われましたが、なぜかということは余り研究がなされておらず、すぐにはお答えできません」

↑ページトップにもどる

審査員制度について

斎藤浩参考人の「外部人材を審理員あるいは第三者機関へ積極的に登用し、独立性を更に高めるべきである」との御意見は、考え方としてはうなずけますが、一方で、全国知事会が意見書で「審査員制度について、行革等でいろいろ公共団体によっては課題があり、事務の効率性、迅速性を損なうおそれがあるのではないか。第三者機関は審理の長期化につながり、簡易迅速な救済という観点からは目的に相入れないのではないか」とか、行革等の問題も併せ、懸念材料として指摘しています。地方公共団体も規模が様々で、小さな地方自治体はなかなか御意見どおりにはいかない面もあり、外部人材登用も含めた地方公共団体に対してのアドバイス、御意見について伺いました。

斎藤 浩 弁護士

「知事会が言われることは当然のことです。自らの方に不服審査が向いて矢がなるべく飛んでこない方がいいのに決まっていますから、そのような御意見になろうと思いますが、国際水準ということを考えていただきたい。韓国、台湾、アメリカと続き、ドイツは来年行きますが、なぜ日本のような立派な国でこのような審査体制しかないのかというのが、諸外国を回るとわかると思います。先進国あるいは先進国を目指そうとしている国は、重装備の装置を抱えて、国民の権利救済と、その結果として行政の適法化、適正化のために構えをつくっているという国際水準がありますから、まずは今回の法案は是非通していただいて、審理員と、行政審査委員会の中でできる限り国際水準性を取り入れていただきたいというのが私の願いで、その次に運用の改善で申し述べました点に御理解をいただきたいと思います」

↑ページトップにもどる

地方を、熱くする。誠実に前向きに! 自民党 参議院議員 石井まさひろ